朝寝坊

お題/朝寝坊・ほだされる・舐め取る

 時計ばかりを気にする性分が抜けない。今か今かと目覚めを待ち焦がれる様は傍目からには餌を待つ犬と同じなのだろうか。甚だ遺憾ながら間違いとも言い切れないのだから、つくづく呆れ果てるしかない。
 それもこれも全て今日という日がいけない。カレンダーの印は休日。窓の外は恨めしくも曇りなく晴れ渡り、ベランダの下を覗き見ると賑やかな子供達の歓声が遠ざかっていく。こんな馬鹿な期待を持て余して隣をもう何度見ても重怠げに閉じ切られた瞳が開くことはない。カーテンの隙間に差し込んだ指を払って溜息をついた。
 このまま一日中部屋に篭り切りだっていいんだ。どうせ明日は雨だと聞いた。天気なんて気にしてない。空模様は関係ない。でも立ち込めるこの気分はなんだ。
 抜け出していた部屋に戻ってみると、決して大きくないベットの上に一人、起き抜けの姿があった。

 「寒いんだけど」

 起きたと見るや不機嫌に歪ませた顔と鉢合わせる。

 「なぁ」
 
 ほだされた方の負けだと分かっているのになんでこんなんで泣いてんだろう。

 「……馬鹿じゃないの」
 「な、っに」

 目尻を熱い舌に拭われて出ていたものも引っ込んだ。急に何てことをするんだこの男は。

 「起こせばいいのに」
 
 そんなこと出来たら苦労しない。出来ないからこんなことになっているんじゃないか。

 「待っ……おい、って」
 「うるさい」
 
 引き摺り込まれた腕の中で喚くと、更に力強く拘束されてしまい口答えるのもままならなくなってしまった。二度寝でもする気かこの年中引きこもり野郎。

「……遅いんだよ」

 ぼそりと呟くと、黙らせるように唇を塞がれていた。