未消滅

 免れようのない危惧からの逃避を求めている。
 消滅を恐れながらふらふらと当て所なく蛇行する歩みの先に、雑踏から遠く離れた路地裏はある。その一番底から天辺を見上げる。細長く切り取られた黒い川が頭の上を流れているのに、真下に揺蕩う僕はどうしても息を吸い込んで、確かめてしまう。溺れた振りに酔って見失っている。静謐に取り残されてまだ見付けていない方法がないか探し続けている。徒労に終わればまた消滅を恐れて彷徨う。
 思考の徘徊癖に自覚的な分マシだと思いたかった。けれどきっと見付け出してくれる。
 ああ今夜も、僕は消えずに済んだのだ。

 「遅かったね」
 「ああ、ちょっと寄り道を」