「遅っせぇんだよ童貞」
「ひでぇ……」
口が悪い。目つきも悪い。態度も悪いし手癖も悪い。良い所何て覚えている限りひとっつもない。あー、外面は良い方になるだろうか。裏表の激し過ぎる人だとドン引きした記憶はまだ新しい。
「……早くしろ、おい」
こういう事をさせる時は大体、何かやらかした日。心当たりがないのだが取り敢えず合わせておく。
「すみません、俺何かしたっけ?」
「んな事どうでもいい、から」
「……はーい。了解です」
薬指に嵌められていたそれを咥えて、口だけで外して見せると指先が口内で舌に触れた。舐めてしまいたい。キレられたとしても。
「な、んで外してんだよ」
「要らないでしょ、こんなの」
女避けとか何とか言って常に身に着けている、奇妙な役割の指輪をその辺に放って組み敷く。あっさり折れてくれるのは良いのだけど、機嫌の悪さには拍車がかかったらしい。
「何、着けてたかった?」
無言、と言うことはつまり是。何が良いんだかよく分からないが、普段滅多にしない仕草に全て吹き飛んだ。
「どうしたんですか、珍し」
背を反らせて、下肢の膨らみを押し付ける扇情的な腰使いには当てられた。負けじと身体を密着させ、ゼロ距離で囁く。
「えっち」
「るせ、っ……」
反則でしょ、それは。
「良いですよ。すっげーエロくって」
スラックスにかけた手を追う目元は濡れていた。どうしようもなく抱いてくれと言っている、ように見える。希望的観測。勿論そのつもりで呼ばれたのだから期待したって許して欲しい。
「でももうちょい待ってて下さい。慣らさないと」
強引に抱く趣味がないなら、と据膳を前に良い子振ったつもりが、一向に離れてくれる気配がない。
「いい、もう要らない」
「駄目ですよ。痛いのキライでしょ」
「……っから」
「?」
「ここ、もぉこんな、なってるって……っ!」
秘部から抜き去られたどぎつい色のそれが鈍い音を立てて足元に落ちた。振動を繰り返しているのは卑猥なオモチャ。
あーあ、大丈夫か俺。
「ぁ……っ」
「ずーるいなぁ」
横暴で健気な彼は若干引いていた。だってこっちももう限界だし。ほくそ笑む。
無事で済むと思わないで下さいね?