misfit

misfit不適合

 テイクアウト可、とデカデカと書かれたデジタルサイネージが眩しい。出す場所間違えてね?と言ったらアウェー丸出しかも知れない。でも何か癪だ。別に一見じゃないし。せめて近所のファストフード店で見たかった。何であの店持ち帰れないんだろ。頑固店長の怠慢なんじゃないだろうか。

 「ぇ、ねぇって」
 「なーに」
 「何杯?」
 「三……いいや、二回にしといてくれる?」
 「はぁい」

 透明なグラスに黄色のキューブが幾つか放り込まれていくのを眺めていた。炭酸にゆっくり沈んで行くとさながらレモネードのような。丁度この量で二回分の効果が期待出来る。でも最近効かなくなってんだよな。元々効きが弱いのか俺の耐性の所為なのか知らないけどそろそろ度数を上げないといけない。
 
 「じゃ一番行きまーす!」

 周囲のコールを浴びて一気にグラスを煽ると見る間に嗚咽を漏らしながらアーウーとゾンビめいた呻きを上げる。続け様に三々五々似たような奇声喚声の雨霰。
 こんな中から選んで持って帰ってねと言われても気が乗らないよな。でも一応そういう場なのである。白けてしまってグラスに手を出せずにいた。だがその中で一人周囲に紛れるフリをしてグラスを煽っている、至って冷静な奴がいた。見た目は平々凡々な男にしか見えないが。

    おまえも?

 目が合ってしまったので、ジェスチャーで交信を図ってみた。騒々しい空間の為に声までは届かなかったが何とか唇の動きを読むのに成功した。

    おんなじ
 
 唇の端が持ち上がり、交信相手は派手に色付いたキューブを直接噛み砕いて見せた。ちらりと覗いた八重歯の先端は溶けたキューブの所為で青く染まっていて、紫色の舌が舐め取る。しかし青か。強いのキメてんな。少し強いだけってレベルじゃない。ヤバいやつが来てるってのに、他の奴になんか構ってられなかった。

 「やっぱり緑貰える?ペールで」

 いつもより一つ上げたオーダーに変え、品定めが済んだ手元に新たなクラスが運ばれて来るまで、灰色の妄想に舌鼓を打っていた。