傍らにある観葉植物に生命力を奪われている患者達は、院内放送に従ってドアに吸い込まれる。入室した前と後のとの違いに、診察の結果は必要なかった。強いて目に見える違いはない。次から次にドアに吸い込まれては新たな出会いを待っている。俺の前と後と、上と下の患者達。白影の記念写真を受け取り退室する前と後で、モニターに並ぶ減り続ける。待っていた。呼ばれる場所も整理券も渡されないで俺は待合室のソファに腰を下ろす。硬いソファが何列もある。座り心地を診てもらうべきだ。外来受付の時間は過ぎている。見舞客が来ても病室は空きだらけだ。空っぽに花束を手向けて花瓶は用済みになる。庭は荒れている。ホースは繋がらない。今日は来るはずだったんだ。よく滑る階段を上って、土くさい屋上の涼しい顔を気にしない振りをする。両輪が空転する意識だけが取り残されている。
階下は花畑だった。季節外れの満開模様を眼下に、歓声を後目に。
いやな光景だった。いやな風景だった。
待合室に戻る。やがて案内があるのは誰だか俺はもう知っていた。
いやな並びだ。いやな順番だ。
見舞客を見舞って、案内が響き渡る。お悔やみ申し上げます。
悔やまれなくっても、必ずお前を迎えに行くよ。屋上から。頭上から。
そしたらまた会おう。そうすれば、欠けた頭の足しになるから。