雪が降る町

 銀白色に積もる新雪の上には未来があった。何にも穢されない、荒涼とした未来が。その上に連なる足跡は、狐でなければ子供のものか、さもなくば知り合いのものに違いなかった。しかしながら左右に覚束ない足取りのすぐ先に、子供の足跡はもうない。徐々に大きくなった靴跡が暫く続いたら、何処かの地点でぱったり途絶える。
 雪の上の未来はある形を示し続けていた。奴は早くに兄弟を亡くしてからというもの、一人で二人分の兄弟になろうとした。兄も弟も兼ねようとして新雪を踏んだ。
 あいつは昔飼ってた犬のようだった。俺は止められなかった。燥ぎ回っているのを止められなかった。数時間後、愛犬は自慢の毛並みを二度と梳けなくなって、奴は骨と皮だけのままになって転がっていた。

 ここは雪が時を奪う町。誰もが春を待ちながら二度と雪が去って欲しくないと願う土地。俺の知らない雪下に、見知った、春を待てない未来達が横たわる明日を待っている。

 俺は戸口に立っていた。