「おはーって何で俺のベッド使わせてんの」
「だってお前のじゃないから」
馬鹿でかい寝室に見知らぬ顔を発見した報告ついでにクレームを入れておいた。あれ誰だろ。男だったけど。まぁ誰だって構わないっちゃ構わない。ソファ使うか。あーでもぬいぐるみだらけなんだよな、あそこ。
深夜に向かった三辺航宅のドアを普段と同じように開いた、ので少々驚いた。女呼んでてもすぐ帰してたのに。レアケースに遭遇するのはそいつに限って言えば初だった。
けどまぁどうでもいいか。ゲーセンのショッパーに詰め込んでおいた戦利品を並べていく。今回は負けが込んでしまった。次は倍取ろう。心に誓う。女子ウケも結構悪くない。だから総合的にギャンブルより健全だ、ということにしておく。
「あのさぁ、いい加減そいつら邪魔なんだけど持って帰れよ」
「まだ余裕あるし広いんだからいいだろ」
「だからお前の所為でどんどん狭くなってってんの」
軽口を叩いている途中ではっとしたように詰め寄られる。珍しい反応だった。
「てか見たのかよ」
「あ?そうだけど」
じゃなきゃどうやって中を確かめるんだか。
「大賀起こしてたら追い出す」
大賀。ああ名前か?上か下かいまいち分かりにくいな。へぇ、大賀君。通りで知らない訳だ、聞き馴染みがない。というかそれ牽制のつもりか?
「起こしてはないと思う」
「はぁ?」
盛大な舌打ちを食らってリビングを出て行った後をついていくと、それはもう奇妙な光景がそこにはあった。
『ごめん、何でもないから。大丈夫、ね』
『……ん』
寝惚けていてなのか、それが日常なのか、三辺は大賀の頭を抱きながらあやしていた。人の形してるのに飼猫みてーだな。囲ってんのか?ああいうところがよく分からない奴だな。てか明らかに事後っぽいし。男も抱けたのか。付き合い長い気がしてたけどどうやら俺だけだったらしい。どうせすぐ飽きるんじゃないだろうか。同じものにしか拘れない趣向は俺と共有出来そうにない。別に相容れなくたっていいけど。
今度は起きてる時に来てみるかな。
でもその前に物凄い剣幕で睨み付けてくる三辺から、出禁通告の危機を回避する方が先かも知れなかった。